奈良の景観


都市にはそれぞれのランドマークがあります。

そして都市景観はそのランドマークと周囲の調和でバランス感が決まってきます。

平城京のあった奈良時代はこの都市景観の設計が巧妙に行われていました。

平城京の中心である大極殿や朱雀門からの景色が素晴らしく見栄えがするようになっていたのです。

つまり今の旧奈良市街、奈良時代では外京と呼ばれる東側の外郭区が、都の舞台装置のように聳えていました。

その外京でもランドマークとなっていたのが、東大寺や興福寺の伽藍。

そしてこれらの伽藍の背景としてなだらかな春日山の青垣が昔も今のような自然美を醸し出していたことでしょう。

段差があるなだらかな上下に広がる都市景観ほど見ていて落ち着くものはありません。

現在は100mを越す高さだった東大寺七重塔が存在せず、40m超の興福寺五重塔が伽藍の代表格として奈良の風景の中心的なランドマークになっています。

春日山、若草山とマッチしたこの伽藍の景色は最高です。
中国の都城制度にない日本独特の都市景観政策だったわけです。


現在では国内でも例を見ない類稀な美観となっているこの景観を大事にしながら古都奈良ではの街づくりを今後も心がけていってもらいたいものです。

写真は奈良の広報としてご活躍のtetsudaさんから了解を得て掲載したもので興福寺伽藍を西から眺めたもの。

朱雀門の上に登って望遠鏡を使えば奈良時代もほぼこれに近い風景になっていたと思われます。

コメント

匿名 さんのコメント…
del-floria-春日さん、こんにちは。写真に素晴らしい文章を添えてご紹介いただき、有り難うございました。

確かに、万葉びともこのような景色を眺めていたことでしょう。しかも6時、12時、18時に、奈良時代と同じ興福寺の鐘の音が今も聞こえてきます。

それを考えれば、平成の今まで引き継がれてきたこの素晴らしい歴史的風土を、私たちの代で壊してはいけませんね。

環境問題では「持続可能な社会」という言葉がキーワードになっていますが、自然と人工の美が調和した「持続可能な奈良」の景観を守っていくのは、今の世に生まれた私たちの使命ですね。
あをによしこうじ さんの投稿…
「持続可能な社会」にあって奈良がモデルとなるよう取組んでいかないといけませんね。
高層建造物が少なく、恐らくCO2排出も街としてはかなり低い奈良は、衣食住ともに贅沢な街環境と思います。
本質的なLOHASな奈良はCOOLと評価されるのではないでしょうか?