奈良の寺社以外の魅力

古代、中世のイメージが強い奈良ですが、奈良の魅力は意外にも近世からも引き継がれています。
それは、古い町並みです。

さすがに古代、中世の町並みというわけにはいきませんが江戸時代からまるで冷凍保存されていたかのような町並みが県内の至る所に残っています。

代表的なところでは、今井町、奈良町(旧元興寺境内)、大宇陀町(旧松山城下)、高畑(春日大社の社家町)、多門町(旧多聞城麓)、田原本町等です。

特に今井町は、大名貸・蔵元・掛屋・両替商・米・酒・味噌・油・肥料や嫁入り道具で栄え、堺と並ぶ商業都市でした。
室町時代は武装寺内町として自治権を確保し、豊臣時代も優遇され、「海の堺」に対し、「陸の今井」としての地位でした。

江戸時代になって寺内町としての自治権は形式的には維持できなくなったようですがそれでも実質は、自治特権を行使していたようです。

今井町がこれほどに過去の名残を今に伝えているのは、皮肉なことですが明治維新で大名貸が一挙に不良債権化し、町が衰退したことによると思われます。

しかも鉄道の乗り入れを拒否したことから、明治以来、開発の波に呑み込まれることなく現在に至っている稀有な町です。

現在では、重要伝統的建造物群保存地区として後世に残すべき日本の文化として位置づけられ、奈良でありながら寺社地区には見られない独特の景観地区となっています。

堺はかつては日本のベネチアのようだったと形容されていますが、今井町はさしづめ日本のフィレンツェといったところでしょうか。

ともかく町全体がそっくりタイムスリップしたような状態であり、観光都市化も俗化もしておらず、町のスケールからしても国内屈指の稀有な歴史空間と思われます。

近くの大和三山に隣接する飛鳥、藤原京地区が世界遺産に登録予定のようですがこちらも世界遺産登録の価値は十分ありそうです。

















コメント

匿名 さんのコメント…
こんにちは。3連休も最終日ですね。

今井町のきれいな写真を拝見し、また行ってみたくなりました。帰省の折に撮られたのですか。

土産物店や飲食店が少ないといわれますが、それが俗化から守っているとも言えそうです。

> 今井町、奈良町、大宇陀町、高畑、多門町、田原本町等

あと郡山、高取町、新町(五條市)、洞川(天川村)あたりも良いです。秋は「むかし町」によく似合いますね。
あをによしこうじ さんの投稿…
こんばんわ。
奈良への帰省も見所が多く、有意義に使わないといけないのでまるで観光旅行みたいです(笑)。
むかし町は仰るとおりですね。
郡山、高取、五条、天川&吉野も超一級の知られざる良さがありますね。
映画のロケに使えば名画として記憶されそうな場所です。
特に高取や天川など良すぎて、対県外ではそっと秘密にしておきたいくらいです(笑)。駅からも高速からもアクセスが不便、というのが冷凍保存できてきた背景でしょうがそれ以上に住民の意識が強かったからこそと思います。これからも保存・維持たいへんでしょうがしっかり後世に残してもらいたいですね。