鹿男あをによし

①東大寺境内の奈良の鹿。
②舞台のひとつでもある平城宮中心部の1300年前。手前は松林苑。


③こちらも舞台では重要となる東大寺境内。


昨年は、奈良を舞台にした河瀬直美監督の作品「「殯の森」(もがりのもり)がカンヌ映画祭でグランプリ受賞で盛り上がりましたが今年も期待できそうです。

今回は、日本のコンテンツ業界の王者フジテレビが傘下の共同テレビ制作で連ドラの舞台として奈良を選びました。(1/17以降毎週木曜22時~)

「鹿男あをによし」です。
原作は直木賞候補作品となった万城目学氏の「鹿男あをによし」(幻冬舎)で、これはなかなかの傑作でした。

夏目漱石の「坊つちやん」を彷彿させせる滑り出しから一転して、壮大なファンタジーに仕立てられたストーリーは奈良ファンでなくとも十分楽しめる内容です。

鹿が喋り、奈良に何の縁もゆかりもない東京から来た主人公が大変な運命に翻弄されるという筋だけの推薦書評で読んだ時はさほど期待はしていませんでしたが、読み始めると。。。

ともかくぐいぐい引き寄せていくテンポの良さと意外で面白く滑稽な話の展開は期待をはるかに上回るものでした。

何といっても読んだあとの爽快感が心地よいのです。

奈良には東京のスタジオでは表現不可能な素晴らしい空間があり、自然と歴史と文化の舞台があります。

そういう意味で景観、俯瞰景など見せる(魅せる)空間の保全があったればこその奈良の面目若如でしょうか。

フジテレビの番組HPから推察するに、若草山を使っているようですし、地元の話では飛火野や東大寺講堂跡、平城宮跡地などを撮影場所として使っているようです。

番組のキャッチフレーズは、「神は使いに、鹿をえらんだ。」。

なるほど「面白くなければテレビでない。」という局だけあってわかりやすいです(笑)。

さて神が鹿に託したメッセージとは。。。

ファンタジーでも歴史ものでも恋愛ものでも或いはミステリーでも、奈良を舞台にしたコンテンツはいくらでも可能性・ポテンシャルはありそうです。

そういえばハリウッドが60年代、007に対抗して世界中に配給した米MGM制作の「ナポレオン・ソロ」では、日本を舞台にしたエピソード「桜事件」では奈良東大寺がスラッシュ本部でした。

自然環境と歴史文化が一体となっており、鹿が町中を闊歩し、緑あふれる大和青垣と公園に囲まれた奈良の町はこれからもコンテンツの舞台として独自のメッセージを出していけることでしょう。

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