塔と街の景観

街、特に古都と云われるところはやはり塔の景色が必須かもしれません。

百塔の街、プラハなどその最たる事例でしょう。

北欧のストックホルムも「北のベネチア」と呼ばれるだけあって運河の景色と尖塔の景色がバランスしています。


これは早朝散歩で人通りがまったくない日の出の瞬間のガムラスタンのドイツ教会。
狭い街路がいかにも古都という雰囲気で日本ではさしずめ奈良の今井町のような。。。


坂道だらけのガムラスタンならではの景色。やはり塔が景観のアクセントになっています。



ガムラスタンからの市庁舎の景色。ノーベル賞受賞の晴れ舞台。
市庁舎もまた寺院のように街の景観にぴったりのまるでアートのような塔を戴いています。


こちらは北方博物館。
残念ながら外観をちらっと見ただけで内部は見学する時間はありませんでした。
市庁舎も博物館も素晴らしい尖塔で外観デザインを整え、街全体の景観に寄与しています。
さて同じく百塔の街といえばかつての平城京がそうでした。

京都の平安京もそうでしたが奈良の平城京は古代寺院の設計上、塔を重視していましたからまさに千塔の町、と形容すべき威容であったかと。


こちらは復元した若草山からのかつての東大寺伽藍の風景。



こちらはほぼ同じ角度からの現在の若草山からの景観。
今でも素晴らしい眺望景色ですが、塔が欠けている景色は惜しいの一語に尽きます。

遷都1300年もあり、古都奈良は着実に再生に向かっているのは事実です。
昭和の東大寺大仏殿修理や薬師寺の金堂、西塔再建は今では昔のことですが最近では唐招提寺金堂修復、平城京大極殿復興、興福寺中金堂復興それに薬師寺東塔修復などが続きます。

古社寺の修復メンテは当然としてこれから課題があるとすれば往時に近づくことは無理としても仏都としてのアイデンティティの観点からせめて奈良のコアともいうべき東大寺塔の復興でしょうか。

七重塔は難しいまでも、薬師寺の三重塔をさらに多層化した五重塔などぜひ天平伽藍に相応しい空間を取り戻したいものです。

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