奇跡の大坂図屏風はオーストリア古城で眠っていた!/世界の八不思議

毎回面白くて見逃せないのがNHK「歴史秘話ヒストリア」。http://www.nhk.or.jp/historia/backnumber/27.html
今回は約400年前に大和絵の技法で豊臣時代を描いた「大坂図屏風」。




http://www.austria-connection.at/anto/graz/image/eggen02.pdf
グラーツ郊外のエッゲンベルク城(Schloss Eggenberg)で何と豊臣時代の大坂城を描いた屏風が発見されたのです。
17世紀、ヨーロッパの王侯貴族が東洋趣味で日本の工芸品収集に熱中し、東インド会社経由でハプスブルグ家統治のオーストリアに渡ったとのこと。
特に屏風は、Beoboとして人気があったようです。

当時の西洋では想像も出来ない高層の天守閣があった大坂城は「世界の8番目の不思議」と欧州に伝えられたようです。

それにしてもこの屏風のディテイルは素晴らしいの一言に尽きます。
①黒漆の望楼を戴く天守閣、華灯窓や長押など繊細にして優雅な大坂城建造物



②日本の歴史上、最も美麗な橋だったことが判明した極楽橋





③壮麗な御座船、まさにフラッグシップ、鳳凰丸が淀川に浮かぶ姿。


④宇治平等院、石清水八幡宮、住吉大社、四天王寺の往時の姿
⑤大坂城の複雑な防御構造
⑥水運都市大坂、特に船場の様子
⑦祭礼の賑やかさ(住吉祭)、城内外の人々の躍動感


また、この屏風自体が生き残ったことが奇跡です。

①奇跡1:豊臣時代の栄華の痕跡は江戸時代になって意図的に抹消されたのでこの「失われた美都」の絵自体が稀有。
②奇跡2:欧州への長い航海では難破や損傷することが多く、無事に辿り着けた幸運。
③奇跡3:乾燥している欧州で維持が困難なところ、きちんとメンテされ、カンバス補強され、壁画に姿を変えて保全されたこと。
④奇跡4:エッゲンベルク城自体がハプスブルグ家興亡史の中で生き残ったこと。
ウィーンやザルツブルク、それにグラーツの宮殿などは火災、戦災などかなり被害を受けています。
⑤奇跡5:世界大戦時、ソ連軍駐留の際に多くの宝物が略奪された中、壁画であったため強奪から免れたこと。

また、ケルン大の東洋美術史教授(エームケ氏)がウィーンで鑑定し、豊臣時代の大坂城に違いないと評価することがなければ永遠に日本に紹介されることはなかったでしょう。

さて今回の発見にはさらにおまけがあります。
大阪城とオーストリアエッゲンベルク城が「友好城郭提携」を締結し、オーストリア大統領が大阪城を訪れ、調印したとのことです。
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/yutoritomidori/0000052878.html
http://www.sankei-kansai.com/2009/10/03/20091003-015295.php



ついでに驚きだったのが当時の大坂の人々が既に派手な衣装でしかも「うどん」を食していたいたこと。(画面右側の船場の風景)
赤系のド派手な服装は東京や京都というより大阪のファッションですがこの時代に起源がありそうです(笑)。
絵のタッチが全般的に明るく、描かれている人々も平和そのもので、どちらかというと町民目線。
さらに「うどん」とは!
まさに「秀吉の夢の都」、大坂ならではのユーモラスな世界観です。
よくぞ生き残ってくれたと感謝したい絵です。
http://www.nhk.or.jp/historia/backnumber/27.html
12/16(水)には朝8:15からBS2で、夕方16:05からはNHK総合で再放送とのこと。
何にも増して、今回の発見で又、オーストリアのウィーンやグラーツ、ザルツブルクなどの美都を訪ねてみたくなりました。

コメント