夜の美観が素晴らしい奈良

 夜の興福寺伽藍は静寂そのもの。
ライトアップされた五重塔はまさに奈良のランドマークタワーに相応しい佇まいです。
高さは50m超。
偶然ですがTDLのシンデレラ城とほぼ同じ高さです。
人が見上げて心地よい高さのランドマークタワーとはこういう高さなのかもしれません。
興福寺自体は台地の上の景勝の地に立っており、塔の景色は猿沢池側からや奈良市遠望の時の眺めで重要なアクセントになっています。
ちなみに猿沢池側からはフジテレビ「鹿男あをによし」の際に製作関係者が宿泊した魚佐旅館の屋上からの景色が最高のようです。
 東金堂側から見上げた五重塔。
塀が取り除かれ、奈良公園と一体となった伽藍はまさにオープンスペース化しています。
鹿たちが自由に闊歩できるのもこのオープン性によるものです。
日本を代表する国宝にこんな至近距離に接近できるとは世界の常識からすると驚くべきことかもしれません。
 以前は市内のいたるところから眺めることができた五重塔ですが今ではかなり限られてきています。
奈良市の景観課が頑張っていて、どのような箇所が景観、眺望で素晴らしいか公開しています。
http://www.city.nara.nara.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1221791884707&SiteID=0
景観をこれだけ重視して責務を追求している自治体は欧州では当たり前でしょうが日本では希少かもしれません。
来月には「奈良市眺望景観検討懇談会」実施とのこと。
http://www.city.nara.nara.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1288224118825&SiteID=0&ParentGenre=1000000000594

 http://www.kohfukuji.com/kanjin/rebuild.html
興福寺が現在取り組んでいるのがこの中金堂の復元。
かつて国家(朝廷)が財政面で面倒を見ていた時代やあるいは財政豊かな摂関家がバックアップしていた時代と異なり檀家がいない興福寺にとっては資金集めはかなり難儀な問題です。
計画では2015年完成予定で丁度今年10月に立柱式が執り行われました。
寄付を申し出たら、江戸時代に使っていた古瓦を頂きました。
江戸時代の瓦ともなるとそれほど重宝されるものではありませんが大事な記念として残しておきたいと思っています。

日本はVisit Japanキャンペーンを張って観光立国を目指す方向です。
国別で見るとアジア、特に、中国や韓国、香港からはどちらかというと新しい日本、東京への訪問率が高いようです。
一方、奈良への訪問率が高いのは欧米、国別でみるとフランスからの観光客は相当の確率で奈良を訪れているようです。

奈良が歴史都市、観光都市として今後アイデンティティを求めていくなら、こういった奈良への訪問率が高い国々の人々がどんな奈良を見たがっているのか、楽しみにしているのか、十分理解しおくべきでしょう。
そういう意味では欧州の古都とは全く異文化ながらスピリチュアルで静寂な美観の夜は奈良らしく大事にしていかないといけないでしょう。
ちなみに国際観光白書掲載の写真は興福寺五重塔でした。

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