古代最後の女帝の夢「幻の八角大塔」

これは応県木塔の八角塔。
実は今は基壇だけが残る奈良西大寺の塔は当初、この八角塔のスタイルで建造物を目指していたとのこと。
古代日本最後の女帝だった称徳天皇が目指したのは東大寺に匹敵する巨大伽藍の造営。
東洋一の巨大建造物だった東大寺大仏殿と100m超の高さを誇る七重塔に対して、称徳天皇はなんと八角塔七重塔を建てようとしていたのでした。
しかもプラン上では瑠璃瓦葺の八角七重塔。
すごい計画です。
NHK BSの特別番組平城京・幻の巨大八角塔「古代ニッポン最後の女帝の夢」では上記のようなCG復元(もし完成していたら)でした。
それにしてもNHKはいい作品を作るものです。
http://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20101031-12-14475


残念ながらこの前代未聞の壮大な八角七重塔は基壇の基礎だけが八角となり実際には四角の五重塔が建造されたのでした。
これにはさらにおまけがあって「日本霊異記」によると。。。
「左大臣・藤原永手が西大寺塔を八角から四角に、七層から五層に変更したため地獄に堕ちた。」
というオカルトチックな祟り話がくっついています。

現在、東大寺の東塔七重塔の復元が検討され始めていますが、この西大寺の塔が残っていればまさにツインタワー古都の威容であったことでしょう。

ただし奈良時代に叶わなかったこの夢の巨大八角大塔は後に平安時代になって実現します。
国王の寺と言わしめた法勝寺です。
写真は京都さんけいさんが復元したもの。
京都市勧業館にその威容が縮尺ひながたで復元されています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82%E5%8B%A7%E6%A5%AD%E9%A4%A8
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E5%8B%9D%E5%AF%BA
これは歴史の皮肉か、八角大塔が実現した法勝寺が応仁の乱以降衰微廃絶したのに対し、西大寺は叡尊の復興活動もあって今に伝わっています。

コメント