白熱ディベート?平城京跡地横切る近鉄奈良線の行方

いつもタイムリーな奈良テーマを紹介されているTetsudaさんの部ログですが今回も面白い内容です。


あの平城京跡地を横切る近鉄奈良線について奈良県が行ったアンケート結果が発表されました。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/31bf4acb41462f06394355ed5f5740a6#comment-list
http://www.asahi.com/travel/rail/news/OSK201011220241.html
現状維持派は
「車窓から見れる素晴らしい景色」、
「慣れ親しんだ景観」と。
他方、現状否定派は「世界遺産の中を私鉄が通るのには違和感、見苦しい」といったところ。
奈良県実施のアンケートながら驚いたことに県外からのアンケート回答がずいぶんと多かったこと。
やはり奈良は地元で云々するというより日本の中で本格国家創生の歴史の出発点として意識されているということでしょうか。
Tetsudaさんの引用では、
「車窓から宮跡が見えて奈良らしさが感じられる」が512件(県内219件、県外293件)。
「宮跡内に近鉄線が存在するのはふさわしくない」206件(県内55件、県外151件)。
「電車が通過するのは見苦しい」192件(県内62件、県外130件)
つまり現状肯定派が512で、現状否定派398。
ただし否定派のうち281が県外で、肯定派の県外回答者293とほぼ拮抗しています。
つまり奈良地元では見慣れて普通に見えているけれど広く日本全体から見れば違和感をもって見られている可能性が極めて高いということかもしれません。

Tetsudaさんブログには以下のような見方を投稿しました。

「地元見方と外部からの見方 (あをによし南都)



2011-02-19 12:03:41


興味深いアンケート結果ですね。


一番の驚きは地方自治体である奈良県が実施したアンケートなのに県外のアンケート回答者が多いということでしょうか。


やはり奈良はローカルな存在というより全国区の中で注目され、見られている証左かと。


地元で何十年も見なれた景観ですので県内特に奈良市民の観点では不思議でない景観だという見方になるのでしょうね。


景観、眺望は極めて主観的な価値基準も入ってくるので評価が難しいところです。


ただ見た目にどうだったのか、というのは平城京がそもそも建設された当時に最も意識された点ですし、国際都市として長安・大唐帝国を念頭に置いていたことは確かかと思います。


国費をかけて国営公園として整備していく中、今後50年、100年先を見据えて日本の国家の出発だった平城京をどのように見せるのか、見せるべきなのかという視点もひょっとしたら大事なのかもしれません。


重要な史跡のど真ん中を公共交通機関が通っているといういい加減さ?が今の日本らしさといえばそれもそうでこういった現状追認型の見解も特に地元では根強いかもしれません。


よく地方の旧城下町などを訪れると城郭の本丸真下に駅舎や線路があったりする事例(福山、小田原、甲府)などがありもう景観については諦めざるを得ない状況になっているところも多々あります。


このような事例は意図的に政権交代を意識した荒療治的な政治色の濃いインフラ作りだったかと思いますが平城京のど真ん中を走る近鉄の場合は明らかに意図的というより無策、勘違い(そんな大事な場所とは思いもしなかった)によるものです。


高架にして景観を台無しにするなんてありえない選択肢とは思いますがLRTのように景観に馴染めるような形態に変更するのが落とし所のように思えます。


ついでにLRTの形態にして同時にJRと近鉄の相互接続もきちんと行えるようになるとネットワーク機能が改善し、奈良へのアクセス、奈良圏内でのアクセスも改善できるという一石二鳥効果も期待できるかと思います。


本件については景観専門研究家と交通インフラの専門家の意見も奈良県としては諮問すべきかもしれません。」


景観の意識が益々高まりつつある奈良。
今後、景観なら奈良というブランドをぜひ構築していきたいものです。
なにしろ外京という世界の歴史都市には滅多にない眺望モデル形態の都市を作り、眺める景色という舞台装置を組み込んだ画期的なデザイン重視の首都だったのですから。
http://www.pref.nara.jp/secure/50210/keikanngakkouhoukokusyo.pdf

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