宇治川観月橋から

教科書ではよく知られている安土桃山時代の桃山。
じつは伏見城の城址が江戸時代になって桃山となってネーミングされたものです。
いかにもきらびやかで絢爛な雰囲気がよく伝わるということで定着しました。
本来は安土大坂時代か安土大坂伏見時代ですが。
NHKが大河ドラマ「江」で復元した伏見城景色。
なかなかの出来栄えです。
大坂城や聚楽第、小田原城などはすべて「天地人」からの転用でしたがこの伏見城は新たに製作したもの。
大和街道筋にあたる宇治川の観月橋(豊後橋)からの景観で全容がよくわかります。
実は慶長大地震の前にあった伏見指月城が地震で被害を受け、新たに木幡山と呼ばれていた地に築城されたのが映像になっている伏見城。
まだドラマでは地震が描かれていないので時期的には合致しないのですが歴史ものフィクションの世界ですから気にするほどのことではありません。
感心するのはディティルの復元描写です。
大坂からの御座舟が着岸する舟入場、三重塔などしっかり描写されています。
中世に叡尊が復興した聖徳太子ゆかりの大和国吉野比蘇寺から移築した太閤好みの三重塔です。

 今では三井寺(園城城)に現存するこの塔、なかなか美しいバランスで見ていて飽きません。

 この三重塔は流転の歴史で、関ヶ原の役の戦乱で伏見城が焼失した際、巻き込まれることがなく、戦後、三井寺(園城寺)に移築され、現在も拝観できます。

西洋では城に教会の塔が位置することが多々ありますが日本もまた類似した文化があったということでしょうか。
ちなみに城郭内に寺院の塔が存在した事例は3つ。
大和多聞城、安土城、そして伏見城。
いずれもコレクション感覚だったのかもしれません。
いずれもりっぱな天守閣が聳えていた城で、景観的にもバランスが取れていて良かったのでしょう。

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