復元 幻の大寺院 新薬師寺の謎に挑む




現在の新薬師寺界隈
NHK出版から待望の歴史書です。

興奮に包まれた発見の経緯からして非常に興味深い内容になっています。

奈良時代の新薬師寺遺構が奈良市高畑で発見されてから後のプロジェクトチーム結成と往時の復元に取り組むプロセスが丁寧に解説されています。

歴史、建築、仏像と異なる分野の権威の知見を結集して、天平時代の往時の巨大寺院を復元する内容は詳細で分かりやすく、構成・編集ともにこの種の歴史復元物のモデルとも云えます。

それにしても閑静な住宅街に接する大学の構内の地中からよくぞ探し出してくれた、と拍手喝采ものです。

金堂の設計復元、安置されていた七仏薬師如来の復元など映像面でも本書は読み応え、見ごたえ十分です。

東大寺大仏殿に匹敵する巨大伽藍だったとは驚愕の内容です。

巨大金堂跡のみならず遥か南方に謎の八角柱が出土し、この天平大伽藍がどんな姿であったかを復元するプロセスはスリリングでさえあります。

学術面での考証など専門家ならではのアプローチが紹介されていますが読みやすく一般の歴史好きなら十分堪能できる書籍です。

歴史建造物、仏像に興味がある方でしたら誰でも納得できる最高レベルの良書かと思いました。

奈良教育大の敷地は広大でまだまだ手付かずのポイントも多そうです。
今後、本書の続編となるような研究成果が導かれたらと願いたいものです。

奈良の地中はまだまだ宝だらけではないでしょか。
 発掘現場近くの奈良教育大構内にたむろする鹿たち。
高畑の町内は宅地化されています。
この周辺は本薬師町と云います。
現在では高畑町で統一されていますが地元では本薬師町として自治会は独立しています。
まさにこの本薬師町には文字通り本当に新薬師寺の本当の金堂が存在したわけです。
この道の突き当たりが現在の新薬師寺本堂で、天平時代から伝わる十二神将で有名です。
この高畑の本薬師町の東西の道に並行して天平時代新薬師寺の巨大金堂が建てられていました。
この敷地内の地中に一体何が眠っているのか興味深いところです。
住宅の建て替え時には慎重な調査が必要でしょう。 

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