数奇屋三階建て建築

 
 先週はちょうど聚楽第本丸遺構が京都で発見されました。
その聚楽第から伝わるとされる西本願寺飛雲閣は数奇屋風三階建建築として稀有な事例でしょう。
普通なら平屋、せいぜい二階建の数奇屋をわざわざ三階にしているのでこれぞ究極の数寄です。
 そんな滅多にない数寄事例が関東にもあります。西の横綱飛雲閣に対し、東の大関としてもいいぐらいかもしれません。
 日光にある田母沢御用邸。平成になって修復され今では一般公開されています。
 

 日光といえば東照宮ですが建築の系譜という観点ではこちらの三階建て数奇屋の方が興味がそそられるのですがそれもまた数寄というものでしょうか(苦笑)。
全体的に過剰装飾気味の東照宮は日本的建築というより中国風宮殿建築に相通ずるものがありますがこちらの田母沢御用邸はシンプルでいながら素晴らしいデザインバランスです。
 二階の右翼が楼閣建築になっており母屋中央に頂いた数奇屋三階のバランスを軽快に見せています。
 三階欄干部分から右翼2階の楼閣を見下ろせます。
 銅板屋根はやや傾斜が急なのは降雪対策。
 紀州御殿に伝わる紀州木材の建造物を移築して、三階部分として後付したとのこと。かなりの技術力が必要だったと思いますが外観バランス、内部構造で全然不自然に見えません。
 三階部分内部は質素な書院。
懐かしい感じの落ち着きがあります。
 あえて欲を言えば、三階は宝形屋根にして高欄を四方にめぐらし、母屋のアクセントとして南側に入母屋破風とすれば外観面では本当に素晴らしい美観になっていただろうと思えます。

日光見学の外国人観光客には装飾過剰な東照宮だけ見学して帰ってもらっては日本文化の誤解になるのでぜひこの御用邸見学もしてもらいたいところです(笑)。
 
 

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