大阪城でなく大坂城


大坂城ほど物語や映像コンテンツで数多く取り上げられる城としての素材はありません。

特にNHKの大河ドラマでの出演回数は半端でありません。

そんな大坂城ですが外観については昭和の大阪城のイメージが強く、本来の天正期の大坂城についてよく理解されていないのは残念なところ。

京都の古建築ひな型制作の「さんけい」さんが復元したように、天正期、つまり、桃山時代の大坂城は、黒漆塗下見板張のシックでダークな天守閣だったと推定されています。
姫路城に代表される白亜の城とは正反対のイメージです。
黒漆塗の長押に金の飾りや高欄などの細部は今のこる大雑把な造作の城とは大違いです。

しかも形態もすらっとしたスマートなバランス。

でぶっとした層塔型の名古屋城や江戸城、或いは江戸時代に再築した天守台に無理やり復元した現在の大阪城と比べると格好が良いです。
実は、大坂城の建築は法隆寺の大工棟梁中井氏が手掛けています。
日本の芸術文化の結晶とも云える法隆寺の建築の系譜があの時代の大坂城につながっていたのです。

司馬先生原作の映画「梟の城」では10秒くらい、この正当な復元の大坂城が、生駒山から輝く朝日を背景に映されていましたが、なかなかの雰囲気でした。

影響力のあるNHKも今後は昭和の大阪城を黒色に塗るだけでなく、天正時代大坂城を推定復元映像描写してもらいたいところです。

そうすれば少しは本来の美しい大坂城についての認識が深まり、歴史都市としての大阪に対する印象も良くなるかもしれません。

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